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ウラカタログ

アンドワンダー丸の内店。オープン前日の本番。

秋も深まり、各地の山々が紅葉に色づき始めた10月下旬。多い日には1万人を超えるランナーが走るという皇居外苑と、近代建築の父・辰野金吾による設計で日本屈指のターミナル駅でもある東京駅とに挟まれた丸の内仲通りに、国内5店舗目となる「and wander MARUNOUCHI」がオープンを迎えました。

まだ人通りの少ないオフィス街の朝、一番乗りはPR担当の甲斐さんとフォトグラファーの中川さん。一緒にショップの前で待っていると、ほどなくして店長の肥土さんが中からシャッターを開けてくれました。ここからレセプションが始まるまでの限られたわずかな時間で、ショップ内外全ての完成写真を撮り終えねばなりません。それらの写真はオープンを知らせる広報用のイメージとして、各メディアへの掲載に使用します。スタッフのみなさんは撮影の邪魔にならないように着々とレセプションの準備を開始。

そんな様子を目で追いながらあらためて店内を見渡してみると、入り口に立った時の視界が広く取れて店内が一望でき、ほとんど装飾がない機能的な工場や倉庫のようにも感じられる縦長の空間。どのようにこのショップ空間が作られたのかを、アンドワンダーデザイナーの池内さんに聞いてみました。

池内 ショップのデザインはスキーマ建築計画の長坂常さんと一緒にやっていて、丸の内は3店舗目です。これまでに作ってきた名古屋のLACHICや渋谷のMIYASHITA PARKのショップは比較的新しい施設に作るものでしたけど、この「新東京ビルヂング」は1960年代に建てられていて、ある程度時間が経った荒々しい雰囲気の空間でしたね。骨組みだけの “スケルトン”の状態で、すごく味がありました。そういう設計ベースが違う空間に、ブランドとして統一感を持った空間デザインのショップを作るっていうのも楽しかったですね。

そしてこの丸の内という土地は、歴史やアートなどいろんな文化的発信があるし、東京駅は日本各地へつながる重要なターミナル駅ですよね。東京に訪れる方をはじめ、ここから旅に出る方のどちらもが盛んに行き交う場所で、僕らのプロダクトを見てもらいたいと思ったんです。」

レセプションの開始時間が近づいたころ、以前、こちらでもご紹介したand wander MOBILE VAN」が登場。コロナ禍でなければこの移動販売車で日本各地を回るはずだったベテラン営業の立石さんは、ブランド設立10周年を迎え5店舗目のショップができあがった今の心境をこう語ってくれました。

立石 「長くこのブランドに携わってきた身からすると、ショップが増えることによって認知も広がって、and wanderの商品が活躍できる機会が増えることは本当に嬉しいですね。これまでを振り返ってみると、本当に楽しかったんですけど、しょうがなく後ろに置いてきてしまったものもたくさんあると思っています。そういうものをひとつひとつ拾い直して、ときにはじっくりと味わいながら進んでいきたいです。」

この日たくさん駆けつけてくれた仲間たちの中には “地上で読む機内誌”こと『PAPERSKY』編集長のルーカスさんの姿も。『PAPERSKY』とand wanderは一緒に元代々木町で「and wander OUTDOOR GALLEY with PAPERSKY」というギャラリーを運営しており、雑誌の編集コンテンツから派生した展示企画から山小屋支援プロジェクトまで、旅や自然やものづくりにまつわるさまざまなエキシビションを展開しています。

ショップの奥のスペースではand wanderが共感する環境に配慮した3つの活動が取り上げられていました。フェアトレードしたコーヒー豆を自分たちで焙煎して自転車で配達するというサンフランシスコ発「BICYCLE COFFEE」はグァテマラとエチオピアの豆を使った「and wanderオリジナルブレンド」をサービス。オランダ在住のジュエリー作家の本多沙映さんによる「石」の作品はプラスティックゴミを再生させたもので、不思議に混ざり合った色と独特な質感。今シーズンのand wanderのコレクションでもコラボレーションが制作されています。そして着なくなってしまった衣服を糸に還元し、再び別の衣服へリサイクルさせるプロジェクト「BRING」による再生糸を用いた刺繍カスタマイズサービスも。それぞれの環境と手法で持続可能な活動をする彼らとの取組みはさまざまな角度から自然環境と向き合うand wanderらしい表現でした。

お披露目も佳境にとなり、裏のストックスペースに休憩に入ってきたデザイナーの森さんに「大成功のレセプションですね」と声を掛けました。

 「お疲れ様です。やっぱりみんなの顔を見ながらお披露目できるのは楽しいですね。やっと安心しました(笑)。 でもその一方で「伝える」って本当に難しいんだなっていう実感もあるんです。「自分たちが何者なのか」を知ってもらうためのコミュニケーションデザインというか、長坂さんのおかげでかっこいいショップを作って商品を並べたけど、それを「どう伝えるか」ということにもしっかり取り組まなければいけないなと感じています。

例えばこのコロナ禍でこれまでのように気軽に山に遊びに行けなくなってしまいましたが、これまで安心して山遊びできたのは、山小屋の方々が環境を整備してくれていたからです。そこで少しでも彼らを助けられたらと思って「みんなで、山思う プロジェクト」という支援策をこの夏に立ち上げたんですが、それがもうびっくりするぐらいたくさんの方々から共感を得られて。「and wanderが何者か」ではなく「and wanderはどんな人を助けたいか」を表現した方がよりストレートに伝わったんです。とてもいい勉強になりました。私たちはただ大きくなりたいわけじゃなくて、成長をしながら、きちんと伝わるコミュニケーションの方法を考えていきたいですね。」

*支援プロジェクト報告はこちらをご覧ください。

この日はあいにくの空模様でずっと雨や風が吹いたり止んだりしていましたが、山遊びに慣れたand wanderとその仲間たちにとっては全く問題なくみんな楽しそうに過ごしていました。街と山、人と自然・・・どちらにも隔たらずどちらでも楽しめる服。都市生活と自然との間の確信的なあいまいさがand wanderの魅力だと思います。東京丸の内にお越しの際はぜひ立ち寄ってみてください。