リバティーンズが動かした時計の針
#MUSIC#STYLE

音楽にはじまり。

リバティーンズが動かした時計の針

VOLUME.14

「あなたの好きな音楽を教えてください。」
詳しい人も、またそれが人並みな関心だったとしても、
ふと思い起こせば、音楽は人生のさまざまなことと結びついているものだと思います。
音楽と失恋、音楽と洋服、音楽と―。
第14回は、and wander 新宿伊勢丹メンズ館店でスタッフとして働く荒井真彦さん。
インディロックの純粋無垢なサウンドに魅せられた荒井さんが出会った伝説的なバンド「The Libertines」にまつわるお話です。

Illustration by Shigeo Okada
Interview by Soya Oikawa (ANGLOBAL)
Edit by Uno Kawabata (kontakt)

少々自慢話になるのですが、自宅のCDラックには、1000枚を超えるコレクションがあります。その中でも9割以上を占めるのが学生時代から集め続けている洋楽のCDです。きっかけは高校生の頃、友人にすすめられたイギリスの「The Clash」や「The Damned」といった70年代のパンクバンドでした。メインストリームの商業的なロックに対して自分たちのスタイルを純粋に追及するようなインディーズマインドに、多感な思春を過ごしていた僕は魅力を感じたのだと思います()。その後は、ニューウェーブ、ポストパンク、マッドチェスター、シューゲイザー、ブリッドポップといったイギリスのインディロックシーンにどっぷり浸かってしまいました。

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20歳を迎えた2000年頃には「ガレージロック・リバイバル」というシーンが世界各地で起こりました。それは、1960年代のようなシンプルで粗く乾いたロックサウンドを再評価し、演奏するという新しい世代のバンドたちの台頭でした。彼らと同世代であり、彼らが好むサウンドを高校生の頃から聴いてきた僕は、これから自分好みの面白い音楽がたくさん生まれてくる予感がして、とてもワクワクしたのを覚えておいます。

70年代のロンドンパンクの衝撃や90年代のニルヴァーナの登場のようにロックシーンの大きな転換期、歴史が変わる瞬間に立ち会えるかもしれないという期待と興奮の中、新しいバンドが現れるたびに聴きあさっていました。

その中でも、決定的だったのがロンドンの「The Libertines」。僕が学生時代からなんども聴いていた懐かしい「あの音」をリアルタイムで鳴らすまさに「自分の世代のバンド」の誕生です。60年代から70年代のUKロックを彷彿とさせるサウンドながら、決して古臭くない、今の時代に合った新しいサウンドを感じさせたのです。特に、『Don’t Look Back Into The Sun』を聴いたときの喜びと衝撃は今でも忘れられません。

https://youtu.be/jLYsIESNtUc

The Libertines」の演奏は粗削りでお世辞にも上手いとは言えません。それでも、バンドの存在をありのままに閉じ込めたような無垢な空気感が彼らの音楽には詰まっていました。残念ながらわずか2年ほどで活動を終えた彼らですが、カリスマ性を持ったフロントマンのピート・ドハーティが在籍していた当時の数少ない来日公演を3回も観ることができたのは今でも宝物のような体験です。破天荒な行動で度々メディアを騒がせるピートですが、ある日の終演後、外で待っていたファンに気さくにサインをしている光景を見て、ずっとファンを大切にしてきた彼の一面を垣間見ることができ、その姿は今でもずっと忘れられません。

歳を重ねていろいろな音楽に出会ってきましたが、今でも彼らのサウンドやパフォーマンスが僕の音楽の原点になっていることは間違いありません。

  
  • 荒井真彦

    2016年入社。TODD SNYDERMHLなどを経て20202月からand wanderに参加。自転車を趣味とし、乗るのもカスタムするのも好きで現在は3台を所有。休日は近くのスターバックスに行くのが日課で、とりあえず用事がなくても自転車に乗って外出しないと休日を無駄にすると感じてしまう一面も。