ほんのり甘い中華「奇珍」
#LOCAL

より道のススメ | 横浜編

ほんのり甘い中華「奇珍」

VOLUME.1

アングローバル社のスタッフが、自身の勤務地や、
住んでいる地域の素敵なスポットを紹介する連載「より道のススメ」。
横浜編の担当は、and wander 宮下公園店でスタッフを務める多田健人さん。
彼にとって横浜は、子ども時代の思い出が息づく地元。
一方でこの街は、多くの人で賑わう繁華街や観光地としても発展を続けてきました。
連載では、そんな横浜といえばココ、というスポットと合わせて訪れると、
きっと横浜の幅の広さを知ることのできる穴場なスポットを紹介します。

Phptography by Natsuki Kuroda
Select by Kento Tada (ANGLOBAL)
Edit by Yoshikatsu Yamato (kontakt)

「横浜で中華」と聞けば、「中華街」を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし、今回紹介するのは、メインのエリアから離れた知る人ぞ知る名店の「奇珍」。そのお店は、石川町(元町・中華街)駅から、本牧方面へとトンネルを抜け、10分ほど歩いた場所にあります。

 

創業は、大正7年。正式な屋号は「奇珍楼」ですが、お客様が奇珍と略して呼ぶうちに看板も「奇珍」になったというサービス精神旺盛なお店で、僕の父親の職場が近かったこともあり、子どものときからよく行っていた町の中華です。母や友だちと近くの根岸森林公園で遊んだあと、仕事終わりの父が車で迎えに来て、中華を食べに行く。そんな当時を思い出すと、今でも懐かしい気持ちになってきます。

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ノスタルジックな外観からは、名店のオーラが。

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そして、趣のある内観はタイムスリップしたかのよう。

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木製の座席に、大きい鏡が貼られた壁。特筆したいのは、シンプルながらも趣のあるメニュー表! この明朝体のフォントは、眺めているだけで瓶ビールがたちまち空になってしまうんです。お店の歴史を感じさせるこっくりとした木の木目と、テーブルに敷かれた淡いピンク色が、ほろ酔いを誘う心地よい空間になっています。

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僕がイチオシするメニューは、両親が必ず注文する「タケノコソバ」と「シウマイ」。そしてもう一つの人気メニュー「五目焼きソバ」です。「奇珍」の味に共通して言えることは、その甘さ!

 

創業当時から変わっていない甘みは、一度味を調整したら常連さんにあの味が良いんだと言われて以降、ずっとこのままだとか。タケノコソバのタケノコは、いわゆるメンマなのですが、10日かけて手間暇かけて作るその食感はたまらなく、メンマの甘味とスープを口に入れたときにうまれる、絶妙な味わいは、余韻となって口に残ります。それをキリッとビールで流しこむ。町中華の名店「奇珍」は、他では味わえない心地良い空間で、視覚、味覚で歴史とともに中華を味わえる、そんな素敵なお店です。

 

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  • 奇珍(キチン)

    神奈川県横浜市中区麦田町2-44

    昼 11:30-15:00

    夜 17:00-21:00

    木休(祝日の場合は営業、前日または後日休み)

    TEL 045-641-4994

  • 多田健人

    レコードショップやMHL、さらに飲食業などを経て20203月よりアウトドアブランド「and wander」に参加。幼少期はボーイスカウトに所属し、大人になってからはバックパッカーとして東南アジアを旅した経験も。学生時代の友人と「BLC(Barbecue Ludens Crew)」として活動中。無類のコーヒー好きでハンドドリップコーヒーをアウトドアの環境で飲むのが至福の時。好きなアーティストは「Radiohead」「Boards of Canada」「Carl Craig」など。熱狂的なベイスターズファン。