手作り鞄工房「HIS-FACTORY」
#LOCAL

より道のススメ | 墨田・浅草編

手作り鞄工房「HIS-FACTORY」

VOLUME.2

アングローバル社のスタッフが、自身の勤務地や、
住んでいる地域の素敵なスポットを紹介する連載「より道のススメ」。
墨田・浅草編を担当するのは、MHL中目黒の店長を務める天野文絵さん。
彼女にとってこのエリアは、子どものときから今も生活の拠点を置く地元です。
古き良き下町としての魅力を残しつつ、観光地として変化を続け、
日本全国、さらには外国人のかたも受け入れてきた墨田・浅草の、
個性豊かなお店やスポットを紹介していきます。

Select by Fumie Amano (ANGLOBAL)
Photography by Hiroyuki Takenouchi
Edit by Yoshikatsu Yamato (kontakt)

買い物は投票。そんなフレーズを、天野さんが思い浮かべたというのが、隅田川のそばでハンドメイドの革製品を扱うショップ兼工房の「HIS-FACTORY」だ。モノは、原材料から加工に至るまで、さまざまなプロセスを経て売り場に並ぶ。「買う」という行為は、モノを所有するためのアクションであるだけでなく、それが作り出される生産の過程の間接的な「サポート」でもある。

「最近はものを長く使う、長く使えるものを選ぶ、どんな背景で生まれたのかなど、そういった気持ちが大きくなっています。私が働いているMHL.でも、これまでに、環境への意識から生まれた取り組みをしてきました。個人としても自分が大切にしていることを、同じように大切にしている作り手のものを買うなど、ちょっとしたことからでも環境への意識を持てたらいいのかな、と思っています」。

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HIS-FACTORY」は、イタリア製の植物タンニンで鞣した革を素材にした多種多様なオリジナルアイテムに加え、一人一人との対話から生まれるオーダーメイド製品の制作をしている。さらに、教室の開催、YouTubeを使ったオンライン上でのワークショップも始めた。

オーナーの中野さんは、実際に長年愛用されたポーチを手にとり、表面に小さな引っかきキズを作って、こちらに見せてくれた。それを今度は指の腹で革をこする。すると、たちまち線は馴染んでしまい、目立たなくなった。

「日々使うものは、どうしても、多少のキズや汚れは避けられません。ただ、この革は、そうした汚れやキズが、味のある表情になってくれるんです。まさに素材の力ですね。イタリアの信頼できるタンナーさんによる良質な革をつかって、デザインや縫製技術を駆使しながら、長年愛用できるものをつくりたい、価値観を発信したい。そうした思いから、大量生産の現場を離れて、ここ隅田で、材料の調達から製作、販売、商品の発送にいたるまでのすべてを、目の届く範囲で続けてきました」。

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「レザークラフト体験のできるワークショップは、近頃、参加を希望してくださる方が増えていました。それも、年齢の若い方が多いんです。どんな材料で、誰がどのように作っているのかをきちんと把握したうえでモノを使いたい。短いスパンではなく、長く愛着の持てるモノを使いたい。そうしたニーズが、あらゆる世代で増えているように感じます」。

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取材時には、鞄のリペア作業を間近で見せてもらうことができた。「中野さんの集中している姿は、迫力と緊張感がありました」と天野さん。「鞄ひとつでも、壊れたり、劣化したらすぐに捨ててしまうのではなく、リペアをして長い付き合いをすることが、回り回って、環境にいい。中野さんのお話を伺って、あらためて、自分の使うものに何を選んでいくかを考えるきっかけになりました」。

  
  • 手作り鞄工房 HIS-FACTORY

    東京都墨田区吾妻橋1-16-5

    11:00〜13:00 14:0019:00 火・水休

    TEL 03-5619-1602

  • 天野文絵

    下町生まれ下町育ちの生粋の江戸っ子。煎餅が大好きで趣味は街歩き。最近の日課はストレッチすることで、朝は体が軽くなり今日も頑張ろうという気持ちになる。近所の散歩はそれまで通ったことのない道を歩いて、新しい発見や気になるお店に出会うのが楽しい。仕事で心がけていることは平常心を保つこと、前向きでいること。最近の関心は環境問題。