塩キャラメルドーナツ|映画監督・河瀨直美さん
#EAT&DRINK

こばらが空いたら

塩キャラメルドーナツ|映画監督・河瀨直美さん

VOLUME.3

とっておきのおやつは何ですか?
連載「こばらが空いたら」は、さまざまなフィールドで活躍する方々に、
買い求めやすいおかしをピックアップしていただき、
自分にとっての特別なおやつと、そのおやつにまつわるエピソードを聞いていきます。
ひとくち食べれば満足できたり、ポジティブな感情はもちろん、
ときにはネガティブな思い出などとも繋がっているかもしれない「おやつ」。
連載で語られるエピソードとともに味わってみてください。

Illustration by fancomi
Edit by Yoshikatsu Yamato (kontakt)

―塩キャラメルドーナツとの出会いを教えてください。

故郷であり、今も活動の拠点にしている奈良の商店街に突如として現れたドーナツショップ「フロレスタドーナツ」。改装中の店舗の前を歩くたびに、何か素敵なお店が出来そうな予感でいっぱいでした。ここで買えるドーナツは、2010年ごろから私の心を捉えて離しません。

―お気に入りのポイントは?

甘さとしょっぱさの融合です。このドーナツは「塩」と「キャラメル」の絶妙なハーモニーがたまりません。でも実は、最近「塩バタードーナツ」に浮気することもあります。いずれにしても、甘いものとしょっぱいものの融合ですね。

―異なる味わいの掛け合わせが、おいしさにつながるんですね。

映画『あん』の中でも、樹木希林さんの演じる徳江さんが「塩どら焼き」を提案します。

つまり、塩梅が大事。なにごとにも通じる、ものの極意です。あと、お汁粉には塩昆布、というように、甘いものの箸休めにしょっぱいものを添える食べ合わせは古くからのテッパンですよね。

―どんなときに食べていますか?

すこし、疲れたとき。時間があるとき。いいことがあったとき。つまるところ、日常のなかのささやかな「きっかけ」となるときお店に足を運びます。

―飲み物など、定番の組み合わせはありますか?

アップルタイザーですね。りんごの炭酸ジュースで、お店でも販売されています。

―他にお気に入りのおやつはありますか。

強いて言えば、ナッツ系でしょうか。あと、コンビニにあるものだと、カリカリ梅や、ドライの柚子、レモン。あと酢昆布にもハマりました。

―甘いものが少ないですね。

確かに、甘いものは皆無ですね(笑)。酸っぱい系が好きみたいです。あとは、「奈良漬サブレ」が好き。奈良女子大学の皆さんとお菓子工房「ドネードゥガトー」が共同で開発したもので、奈良にしか売っていません。奈良漬の味が、しょっぱい系の役割なんだろうと分析しました。

―こばらが空いたとき、河瀨さんはすぐおやつに手が伸びるほうですか?

いえ、おやつはあまり食べないんです。きっと、人より極端に食べないですね。でも、そのなかで断トツ、このドーナツはよく食べています。仕事の合間に、仕事仲間とちょっと小休憩、というとき、みんなとこのドーナツをほおばっています。

  
  • 河瀨直美

    生まれ育った奈良を拠点に映画を創り続ける。一貫した「リアリティ」の追求はドキュメンタリー、フィクションの域を越えて、カンヌ映画祭をはじめ、世界各国の映画祭での受賞多数。代表作は『萌の朱雀』『殯の森』『2つ目の窓』『あん』『光』など。最新作『朝が来る』は、Cannes 2020 オフィシャルセレクション、第96回米アカデミー賞国際長編映画賞候補日本代表として選出、第45回報知映画賞監督賞受賞。故郷奈良の「なら国際映画祭」において後進の育成にも力を入れる。東京 2020 オリンピック競技大会公式映画監督、2025年大阪・関西万博のプロデューサー兼シニアアドバイザーを務める他、CM演出、エッセイ執筆などジャンルにこだわらず活動を続け、プライベートでは野菜やお米を作る一児の母。