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自然を走る | トレイルラン練習 前編

VOLUME.1

太宰治の小説『走れメロス』では身代わりになってくれた友のために、
映画『フォレスト・ガンプ / 一期一会』では自分自身を解き放つために、主人公たちはひたすらに走りました。
古来、人はなぜ「走る」のでしょうか。
それぞれのゴールに向かって今日も世界中の道という道をランナーが走っています。
この連載ではand wander新宿伊勢丹メンズ館店で店長を務める小山健太郎さんとともに、
走ることに秘められた魅力を考察してみたいと思います。

Photography by Shota Matsumoto
Edit by Soya Oikawa (ANGLOBAL)

自他ともに認めるスポーツ好きの小山健太郎さん。30歳の頃にはじめて参加した市民マラソンでいきなり優勝してしまうという快挙をきっかけに、ランニングに傾倒。その後コツコツと走力を磨き、今では10kmの朝ランが習慣化して毎月平均200kmを走っているのだといいます。

そんな小山さんのモチベーションを支えているのは2つの目標。ひとつはフルマラソンでのサブスリー(3時間切り)を達成すること。もうひとつはトレイルランの大会に参加すること。

市街地を走るマラソンと山野を駆け回るトレイルラン、そこにはどんな違いや魅力があるのでしょうか。今回は比較的最近になって始めたというトレイルランの練習のようすを取材させてもらいました。

この日向かったのは東京八王子市にある高尾山。標高599mの低山で、都心から電車で1時間ほどとアクセスも良く、1年を通じてたくさんの登山者でにぎわう人気の山です。練習は登山者の迷惑にならないよう早朝の空いている時間帯に行います。

11月下旬の高尾山はあざやかな紅葉と、1600種とも言われる豊富な植物たちの冬支度の息吹を楽しむことができます。

初心者から上級者向けまでいくつかある登山道の中から小山さんが練習に選んだのは「稲荷山コース」。頂上までは約3km、標準所要時間90分という高尾山口から頂上を目指すコースの中では最もハードなコースで、歩いて登るハイカーが比較的少ないのもこのコースを選んだ理由です。

序盤はしばらく急な斜面が続き、添えられた丸太や、地表を這う木の根などを階段代わりに踏み越しながら登っていきます。

しばらくすると木々の間から晴れ間がのぞき、比較的走りやすいなだらかな道に。ここまでおよそ30分で登ってきました。小山さんは軽く額に汗を浮かべて「最高です!」とひと言。

山の中の不整地を走るトレイルランにはロード(舗装路)とはまた違ったおもしろさがあるという小山さん。あらゆる角度から飛び込んでくる枝葉と地表の石や木の根っこを避けながら、路面に合わせて重心をコントロールするのはまさに瞬間的な反応の連続。

持続的な集中力がもとめられ、つねに転倒の危険がともなう一方、身体のセンサーを総動員して山のなかを駆けまわる臨場感と爽快感は他では味わえないものがあるのだといいます。

急な斜面は歩いて、走れそうなところだけを無理せずにゆっくり走っておよそ1時間で頂上に到着。のんびり休んでいきたいところですが、走って温まった身体が冷えないうちに、休憩は最低限にして来た道を下山します。トレイルランの中級~上級者ともなるとここからさらに何時間もかけて近隣の山を縦走するのだそう。

紅葉に染まった高尾山。ゆっくり歩くだけでも本当に気持ちよく、混雑の少ない朝の時間帯は特におすすめです。神社や茶屋に立ち寄ったり、時間帯や都合によってはケーブルカーを利用するのも便利。そしてトレイルランを行うには山のルールを正しく守って走りましょう。

次回はトレイルを走る時の道具について「下山編」をお送りします。

  • 小山健太郎

    1986年、長野県生まれ。and wander新宿伊勢丹メンズ館店にて店長を務める傍ら、アングローバル・スポーツ部の部長として活動。フルマラソンでのサブ3達成とトレイルラン・レースへの参加を目指し、自慢の脚力で出勤前に10kmを走る日々。