
より道のススメ | 横浜編
「根岸森林公園」
VOLUME.3
アングローバル社のスタッフが、自身の勤務地や、
住んでいる地域の素敵なスポットを紹介する連載「より道のススメ」。
横浜編の担当は、and wander MIYASHITA PARKでスタッフを務める多田健人さん。
彼にとって横浜は、子ども時代の思い出が息づく地元。
一方でこの街は、多くの人で賑わう繁華街や観光地としても発展を続けてきました。
連載では、そんな横浜といえばココ、というスポットと合わせて訪れると、
きっと横浜の幅の広さを知ることのできる穴場なスポットを紹介します。
根岸森林公園は横浜の中区、根岸台の丘の上に広がる雄大な公園です。なだらかな自然の丘陵を活かした芝生広場が気持ちよく、競馬場の跡地から生まれた公園として有名です。
公園の歴史は、慶応3年にまでさかのぼります。外国人クラブの主催で、日本初の洋式競馬が行われたのがこの場所。明治13年には、運営が日本競馬クラブに引き継がれ、東洋一の規模を誇っていたそうです。昭和18年に、戦争を理由に閉鎖されるまで、多くの人々で賑わっていました。
幼い頃は、そんな歴史はつゆ知らず、家族とのお花見、小学一年生の初めての遠足、凧あげ、はたまたボーイスカウトの運動大会、マラソン大会・・・・・・挙げたらキリがないほど、なんども足を運んでいました。

ハイライトのひとつは、丘陵をゆっくりと散歩した先にある「旧一等馬見所」です。1929年に完成した日本初の本格洋式競馬場「旧根岸競馬場」は、米国出身の建築家J・H・モーガンの設計によるもの。
横浜には、歴史的建造物が多く、大小様々な建造物が今でも現存している素敵な街なのですが、この旧一等馬見所のスケールの大きさは圧巻の一言です。この建物を眺めながら、当時の歴史に想いを馳せると、まるで競馬をしていた当時の観客の歓声、服装や馬の駆ける音が頭の中にイメージが沸き上がってきます。


公園の入り口には、コーヒーが買える売店も。
わんぱくに公園を走り回り、池に飛び込み泥だらけになった写真が今も実家に眠っていますが、大人になると、公園の魅力や自分の中での活用の仕方に変化が出てきました。

音楽を聴くのにどっぷりハマっていた僕は、「音楽をどこで聴くのが心地よいか」というのをテーマに様々な場所に足を運び、海、川、山、都会の雑踏、はたまた空港など、音楽を聴く為だけに、いろんなフィールドに出掛けていました。
根岸森林公園もその選択肢のひとつで、原付バイクを走らせて公園についたらイヤフォンを取り出し、お気に入りのRadioheadを聴く。木々や水面を眺め、コーヒーを飲みながら、丘陵の高低差を楽しみつつ散歩をする。
そうこうしているうちに、人の記憶というのは不思議なもので、当時の記憶がありありと蘇っていきました。他のロケーションとは違い、幼少期からの思い出が詰まった「根岸森林公園」は、お気に入りの音楽をBGMに、アルバムをめくるかのようになんだかセンチメンタルな気持ちになってしまうんです。公園っていいな、という、ややありがちな感想のもと(笑)、また行こう!と、ついついリピートしてしまうのが公園の魅力なのかなと思っています。

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