『Let It Be』―空気のように漂う4人組―
#MUSIC#STYLE

音楽にはじまり。

『Let It Be』―空気のように漂う4人組―

VOLUME.16

「あなたの好きな音楽を教えてください。」
詳しい人も、またそれが人並みな関心だったとしても、
ふと思い起こせば、音楽は人生のさまざまなことと結びついているものだと思います。
音楽と失恋、音楽と洋服、音楽と―。
第16回は、MHL池袋ルミネ店につとめる小松恵さん。
気が付けばいつもそばにいてくれたイギリスの4人組、「The Beatles」についてのお話です。

Illustration by Goro Sasaki
Interview by Soya Oikawa (ANGLOBAL)
Edit by Runa Anzai (kontakt)

「ビートルズって本当に存在していたの?」って思うことがあります(笑)。のっけからおかしなことを言うようですが、好きなアーティストはライブなどを通じてだいたい自分の目で見てきているので彼らの存在に対して「実感」があるんです。でも、私がものごころ付いたころにはすでに伝説と化していたビートルズはまるで空気みたいにふわっとしていたというか・・・。

今回、私は何がきっかけで彼らのことを好きになったのだろうと記憶を辿ってみました。うーんと虚空を見つめて思い出せるもっとも遠い過去は、『Let It Be』を中学生の頃によく友達と聴いたり歌ったりしていたことです。それ以外にこれといった決定的な出来事は思い出せませんが、その曲の名が示すように私の人生にはいつもただ自然とビートルズがあったのも事実です。

受験勉強をしているとき、青春がたっぷり詰まった愛車に乗って箱根の山をドライブしているとき、何をするでもなくぼーっとしているとき。好きな音楽を聴いていると、やっていることよりも曲の方に集中しがちなのですが、ビートルズを聴いている時だけはその感覚がなく、意識と無意識の「中間」にいてくれるんです。ほどよい距離間というのでしょうか。

2.Let It Be.jpg

メンバーについては特定のファンということでもなく、4人そろったビートルズが好き。髪型やファッションも含め、一人ひとりがとても個性的なのですが、4人そろったときの結束力というか絆というか、ひとつのバンド「The Beatles」としての存在に惹かれます。なんだか浅めの焦点でピントがボケているんですけど(笑)、だからか彼らの周辺にも関心が湧いて、イギリスの文化に興味を持ち始めました。いまのマーガレット・ハウエルのお仕事に興味を持ったきっかけのひとつともいえると思います。

しかし考えれば考えるほど、どうしてこんなに「ふわりとした」理由にもかかわらず、彼らのことが「確かに」ずっと好きなんだろうと、さすがに私も不思議になってきました。

そこで音楽そのものについてよく考えてみると、私にとって音楽は、その時々の気持ちを別の次元に繋いでくれるものであると気がつきました。たとえば日々の中でふと聞こえてきた曲が、なつかしさを刺激してくれてあの日あの時の嬉しい気持ちや悲しい気持ちを思い出させてくれたり、乾いていた心に潤いを注いでくれたり。聴いているのは「今」なんだけど、そこから過去も未来も超えていろんな気持ちに繋いでくれるというか。音楽が時空を超えて「わたし史」と同期するんです。

友達と歌った『Let It Be』をはじめ、ドライブ中によく聴いていた『A Hard Day’s Night』など、ビートルズにはそういった「あの時のわたしが同期してしまった」曲がどうも多くあるようです。

https://youtu.be/5MN8q7AByb0

そうだ、『The Beatles EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years』という映画をご存じでしょうか。時代が大きく揺れ動いていた1960年代、世界中をツアーで周るビートルズをとりまく周囲の熱狂ぶりがとにかく凄くて、自分もこの時代に生まれていたらきっとあの狂乱の中に・・・とこれを観てついつい考えてしまいます(笑)。

それから最後にもうひとつ。ビートルズの世界観に包まれるベーカリー「PENNY LANE」はわたしの聖地です。本店は栃木県の那須にあって、アンティーク調の家具が設えられた店内はBGMまでびっしり「ビートルズ感」があります。ここでいただく食事だけはさすがにふわっと楽しむわけにはいかず、「たしかにビートルズを感じるぞ。」とむしゃむしゃ至福の時を過ごす私です(笑)。

  
  • 小松恵

    茨城県出身。餃子とビールがだいすきで職場の池袋エリアでは「開楽」によく行く。休日には自分で身につけるアクセサリーを作ったりもする。最近はあまり行けてないがサッカー観戦もすき。主に日本代表戦と鹿島アントラーズの試合を観戦。加えて最近は西洋美術の楽しみ方を勉強中。