6月 | ささやかなことを、積み重ねる
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イギリスから旬が来る。

6月 | ささやかなことを、積み重ねる

VOLUME.8

MARGARET HOWELL CAFEには月ごとのシーズンメニューがあります。
それは、イギリスから届いたレシピをもとに、
キッチンスタッフが日本の食文化に合わせてアレンジしたもの。
今月も終わりか、と、過ぎた日々を振り返るときも、
新たな月のはじまりに、習慣を切り替えて前を向くときも、
旬のメニューなら、その季節の気分や体調にフィットするはず。
あるときは現場で、あるときは裏方に徹しながら、
カフェリーダーの三辺貴男さんの声で、
イギリスから届く季節のメニューを紹介します。

Text by Takao Minabe (TSI)
Photography by Akemi Kurosaka (menu) / MARGARET HOWELL CAFE (linen scrim)
Edit by Soya Oikawa (TSI)

みなさんこんにちは。

マーガレット・ハウエル カフェの三辺です。

この1年ほどで、日常のありがたさをあらためて考え直す機会が増えました。暮しにも、仕事の中にも、ひとつひとつは「ささやかなこと」のように見えるけれど、積み重ねることによって、しっとりと潤いをもたらしてくれたり、滑らかにバランスを整えてくれたりということがあるのではないでしょうか。一粒ひとつぶの雨の雫のように。

そんなことを思って、6月の回はこのカフェにある「ささやかな仕事」に目を向けながら、シーズンメニューをご紹介したいと思います。記事の後半では、カフェの日常に欠かすことのできない「リネンスクリム」という、ティータオルについてのお話も。それでは今月もどうぞごゆっくりお召しあがりください。

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インゲン豆とアーモンドのスーププレート(二子玉川店)¥1,550

素材の旨みをひとつずつ余すことなく引き出すために、野菜だけを使って作られるこちらのスープ。仕込みの時間、玉ねぎ、セロリ、ニンニクに火が通され、なんとも言えないいい匂いがキッチンに広がると、オープン準備をしていたスタッフが誘われるように入ってきました。おいしそうな匂いに、つい体が反応してしまうその気持ち、よくわかります(笑)。

野菜の香りを一緒に楽しんだ次は、インゲン豆とグリーンピース、スープストックを鍋に加えてさらにしばらく煮込み、ブレンダーを使ってトロみが出るまで回すと、写真のように「とろみ」が出てきて、ピューレに近い仕上がりになります。

ちょうど今の時季は日によって寒暖の差がありますよね。このスープは温度が変わってもおいしいのが魅力なので、いつもは温めてお出ししますが、冷やした方がお好みでしたらスタッフまでお伝えください。どちらもご用意しておきます。

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アプリコットタルト(神南店)¥780

続いてアプリコットタルトです。サクサクでホロホロ食感に焼き上げたタルト生地を器に、その上にほどよい甘さに仕上げたアーモンドクリームを流し込み、しっとりとしたアプリコットをふんだんに乗せたら再びオーブンにいってらっしゃい。タルト生地の歯ごたえとジューシーで厚みのあるアプリコットはとても相性が良く、絶妙な甘さです。

カフェでお出しするシーズンメニューは、毎年恒例の定番のメニューだとしても、すべて試作を作ってスタッフ間でチェックしてから判断するのですが、僕はこれを口に含んだ瞬間、思わず「うまい!」と声をあげてしまいました。

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レモンパウンドケーキ

しっとり、ふわふわ、さっぱり。3つのおいしさを一切れでぜんぶ味わうことができるのが、この「レモンパウンドケーキ」です。レモンのピールも果汁もあますところなく使って焼き上げています。その日の天候や気分のお好みで、冷やせば生地がぎゅっと引き締まり、少しだけオーブンで温めればカリッとした食感も楽しめます。自家製ジャムをたっぷり乗せてどうぞ。

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パウンドケーキボックス / レモン & ソルトキャラメル

(オンラインストア)¥3,000

今月からオンラインストアでは、6種類のパウンドケーキを2つずつ組み合わせた「ボックスセット」を販売しています。また「レモンパウンドケーキ」はときどきカフェでも焼いていますので、ぜひスタッフにお尋ねください。

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さて、最後に、僕たちの日常を支えてくれている大切な「リネンスクリム」についてお話したいと思います。麻でできたティータオルです。オープンと同時にその仕事は始まり、洗浄機から出てきた熱々のカップ、ソーサー、グラス、カトラリーなどの食器をどんどん、ひたすらに拭きあげてくれます。やがて1日の終わりに煮沸消毒され、エスプレッソマシンの上に広げて置かれ、その日の仕事は終了。これを毎日、繰り返してくれています。

新入りの仕事ぶりは、固くてなかなか吸収が良くないものです。でもそれが3ヶ月、半年と時を経ると、だんだんと吸収力が増して柔らかくなり、濡れてもあっという間に乾くようになります。ベテランともなると、おそらく1,000日ぐらいは過酷な仕事を続けてくれているのではないでしょうか。プリントされたロゴの色は褪せ、生地は薄くなってきますが、依然として拭きあげの能力や乾きの速さは抜群です。

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引退後、大切に保管されているリネンスクリム。

しかしそんな彼らにも世代交代はやってきます。穴が空き、糸のほつれが激しくなってきた時です。まだまだ良い仕事はしてくれるのですが、もしもの異物混入につながるため、使用は避けなければいけません。何万回も食器を吹き続け、立派に勇退したリネンスクリムは、処分することなくすべて僕のところに集めて大切に保管しています。捨てられません。ある日、来日していたマーガレットがカフェを訪れ、保管していたリネンスクリムを愛おしんで「これは額装したらいいわ」と言ってくれたこともありました。

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MARGARET HOWELL HOUSEHOLD GOODS LINEN SCRIM ¥1,980

デザインは違うものですが、現在もMARGARET HOWELL HOUSEHOLD GOODSで、無地のタイプのリネンスクリムが購入いただけます。よろしければ、お家に1枚いかがですか。ご家庭でのご利用であればカフェでの経験上、10年はお使いいただけると思います。

スタッフも道具もコツコツと長いこと働いてくれていることは、カフェにとって大変ありがたいことです。そんなことを思っていたら、スコーンが焼きあがるタイマーが鳴りました。今月はここまでです。また次回、お会いしましょう。

  
  • MARGARET HOWELL CAFE

    イギリスのクロージングブランド「MARGARET HOWELL」のショップに隣接したCAFEとして現在は東京に3店舗を展開中。透き通った気持ち良い空間でお食事からスイーツまでごゆっくり楽しんでいただけます。オンラインストアもぜひご利用ください。

  • 三辺貴男

    飲食業界20年を超えるベテランでマーガレット・ハウエル ショップ&カフェでは7年生。音楽・文学・植物からUFO研究まで興味関心は今なお広がり続け、ゆくゆくは都会を離れ、妻と温室で植物を育てながら老後のためにとっておいた本を片っ端から読み漁る日々を理想としている。