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おいしい紅茶の裏街道

VOLUME.5 上級編〜ティーミックスでオリジナルを作る〜

VOLUME.5

”まず試してみる”を合言葉に、日々研究を重ねるアングローバル随一の紅茶通、三邉貴男さんによる連載企画「おいしい紅茶の裏街道」。
最終回は上級編と題し、茶葉やハーブなどを調合しオリジナルのフレーバーを作るティーミックスに挑戦します。

Photography by Aya Kishimoto
Illustration by Masaki Takahashi
Edit by Runa Anzai(kontakt)

ゆっくり味わいたい時のブレンド -ミックスで新しい発見を-

三邉 「まずは、シンプルに茶葉をミックスしたものからご紹介します。

ほうじ茶3、ジャスミンティー2、ダージリン1の割合で調合してみました。

休日にゆっくり、リラックスしながら味わいたいお茶をイメージしています。あえて、茶葉の産地をバラバラにしてみたのもポイントです。

日本、中国、インドのお茶をミックスすることで無国籍な味わいにしてみました。どれも巷で出回っている茶葉です。それらを使って不思議な気持ちになれたら楽しいかなと」

熊崎 「このブレンドの隠れた長所は、ほうじ茶の比率が多いため、カフェインが穏やかであるということ。こうすることで飲み口もまろやかになるのですが、同時に紅茶感は薄れてしまうので、ここで無国籍な不思議さを狙うならばダージリン1は少なすぎるかな…。

逆に、ジャスミンティーはしっかり花の香りを持っているので、もっと減らしても大丈夫。三邉さんのコンセプトに沿うのであれば、ダージリン3、ほうじ茶2、ジャスミン1の割合がおすすめ。ある程度時間を長めに蒸らせば、イメージした味に近いものになるはずです」

身体を温めたい時のミルクティー -お店の味わいをご自宅で-

三邉 Vol.3中級編ではアールグレイを使った煮出しのミルクティーを作りましたが、今回はそのアップデートバージョンです。季節の変わり目におすすめしたい、飲むと体がポカポカ温まってくるようなミルクティーを目指しました。

材料は、ミルク、アールグレイとアッサムの茶葉、ジンジャー、それからレモングラスです。まず、鍋でミルクを温めて、少ししたら材料は全て入れます。

そこから弱火で優しくかき混ぜながらミルクパンの内側周辺に小さな気泡が出てくるまで引き続き弱火でゆっくりと煮出していきます。今回はカップ2杯分が4~5分でできました」

熊崎 「上手い組み合わせですね。まず、爽やかなオレンジの香りを持ったアールグレイと、コクのあるアッサムを合わせたことでミルクティーの風味がより豊かになります。

それにアッサムとジンジャーはとても相性が良いですし、アールグレイとジンジャーもバランスが取れていれば相乗効果でよりすっきりとした味が狙えます。

レモングラスも目指すテーマに合ったハーブ。香りのアクセントとしてもぴったりですね。Vol.3では抽出効率のよいミルクティーの作り方をご紹介しましたが、今回のタイプ、たっぷりの素材を丁寧にミルクで煮出すのは“三邉流”としてアリだと思います。

ぜひ、弱火でじっくりというところはしっかり守ってくださいね」

緑茶のミントティーで爽やかに -初夏におすすめの一杯-

三邉 「最後は、フレッシュなお茶で気分一新。材料は、浄水1,000mlに対してダージリンのティーバッグが2つ、緑茶が10グラム。

ペパーミントとレモンバームは、フレッシュな生葉を使用します。全ての材料を浄水につけて30~40分くらいしたら紅茶を先に引き上げて、もう30分くらい抽出したら完成です。

少し楽したい時には、茶葉もハーブも浄水に入れっぱなしで冷蔵庫に保管すれば1日は日持ちしますよ」

熊崎 「1000mlの浄水に対してトータル20グラム前後の材料を浸けて室温で60分以上の抽出…“水出し茶”の基本をしっかり押さえたレシピです。

そして今回のように、茶葉に好きなハーブを加えることで、目的に合わせて自分らしい風味に仕上げるのはとても楽しいですよね。ティーバッグの紅茶を使い、抽出途中で先に引き上げるのは、味のバランスを思い通りに調節できる良いアイディアだと思います。

ただ、紅茶はダージリンだったので、そのままつけておくのも一案でしたね…ダージリンと緑茶って相性良いんですよ。その場合はきっと緑茶らしさを保ちつつ、より甘香ばしくなっていたはずです。

それから今回は、思ったよりハーブの風味が弱かったので、ここで少し加糖してみましょう。1000mlに対して、ガムシロップ大さじ1杯程度なら、甘くしたことがほぼ気にならずに、素材の味をやや強く感じられるようになるんです。

同時に(もちろんおいしい渋みなのですが)緑茶から出た渋みの刺激を抑えることにもつながるので、ハーブの風味とバランスが取れ、より爽やかで、コンセプトに沿った仕上がりになりますよ」

※ 水温が低く保たれると抽出がゆっくりになるので、材料を浸けっぱなしにしての冷蔵庫保管もおすすめです。そして水出しをする前に、必ず容器はきちんと洗いましょう。また、長時間経つと痛みますので、一昼夜ぐらいでの消費を心掛けてください。今回は氷を入れないスタイルでしたが、もう少し材料を増やしてやや濃い目に作り、飲むときに氷をたっぷり入れるのもおすすめです。

「美味しい紅茶の裏街道」全5回、お楽しみいただけましたか? おすすめのレシピに沿って作る紅茶も良いですが、好みに合わせてアレンジしながら自分の中でのベストな飲み方を見つけるのもまた紅茶の醍醐味。次回は、番外編として、連載を通して紹介したレシピをまとめてお届けします。

*味覚には個人差がありますので、あくまでも参考としてお楽しみください。

  • 三邉貴男

    飲食業界約20年超のベテランで、マーガレット・ハウエル ショップ&カフェでは6年生。音楽・文学・植物からUFO研究まで、興味関心は今なお広がり続け、ゆくゆくは都会を離れ、妻と温室で植物を育てながら、老後のために取っておいた本を片っ端から読み漁る日々を理想としている。

  • 熊崎俊太郎

    フィーユ・ブルー ティーブレンダー / ティー・コーディネーター / 日本紅茶協会認定ティーインストラクター

    日本の紅茶界を代表する紅茶専門家。幼少期より紅茶、カフェ文化に興味を持ち、学生時代より喫茶ビジネスの道に飛び込み、紅茶専門店〜紅茶輸入商社勤務を経て独立。カルチャーサロン、大学の講師や、紅茶文化に関する講演活動のかたわら、カフェ、レストラン、ホテルのティールームのコンサルティングやオリジナルティーのブレンド開発、商品企画を数多く手掛けている。