アートワークで聴く音楽。 音楽にはじまり。
#MUSIC#STYLE

音楽にはじまり。

アートワークで聴く音楽。

VOLUME.6

「あなたの好きな音楽を教えてください」。
詳しい人も、またそれが人並みの関心だったとしても、
ふと思い起こせば、音楽は人生のさまざまことと結びついているものだと思います。
音楽と失恋。音楽と洋服。音楽と―。
第6回は、MARGARET HOWELL 横浜そごうメンズ店の清水亮一さんが登場。

Interview by Soya Oikawa (ANGLOBAL)
Illustration by Sho Fujita
Edit by Runa Anzai (kontakt)

 最近はすっかりサブスクリプションサービスを利用して音楽を聴くことが多くなりました。今まで聴かなかったジャンルの音楽に出会えたり、気になったアーティストの音楽を年代問わず、すぐにリサーチできたりと便利でもある一方で、マイルールとして気に入った楽曲はできるだけレコードなど“フィジカル”な形式で手に入れるようにしています。ジャケットのアートワークや楽曲が収録されている順番などを含めてひとつの作品。それを体験してこそ”音楽だと思うんです。

 もともとは、学生の頃から音楽好きの叔父の影響で195060年代のジャズとUKロックを聴いていました。そこから気になった作品やアーティストに関連するものを少しずつ集めるようになり、レコードジャケットのアートワークに興味を持つようになったのもその頃からです。

特に、1962年に発売されたBill Evans & Jim Hallの『Undercurrent』には自分にとってのジャズの価値観を変えてしまったと言ってもいいくらい大きな衝撃を受けたのを覚えています。Jim HallのギターとBill Evansのピアノという最低限の編成でシンプルに音を鳴らし合うふたりのストイックな空気感が伝わってきて、何回聴いても飽きません。そして、白いロングドレスを着た女性が水面下(under current)から外に顔を出して浮遊しているアートワークも本当に素晴らしいです。アメリカ人の写真家Toni Frissellが1947年に撮影した『Weeki Wachee Spring, Florida』という作品が使われているのですが、まるでこのアルバムのために撮り下ろしたかのようにマッチしています。

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また、ひとつのアートワークが他分野のカルチャーに興味を持つきっかけになることが良くあります。例えばFantastic Plastic Machineという音楽プロデューサーのセカンドアルバム『LUXURY』で用いられているアートワークはデンマークのインテリアデザイナーVerner Pantonによるグラフィックで、ミッドセンチュリーへのリスペクトとそのアルバムに収録されている楽曲との親和性の高さが印象に残っていたり、アメリカの画家、Jackson Pollockは、ロックバンドのThe Stone Rosesやジャズ・サックス奏者のOrnette Coleman(オーネット・コールマン)のアルバムのアートワークがきっかけで好きになりました。

だれかに教えてもらって聴くようになった音楽、ストリーミングサービスで思いがけず出会った音楽、色々な形で音楽と出会ってきました。でも、そこから実際にレコードを手に取ってアートワークやその背景にあるものを理解することで、知らなかった文化への入り口になったり、時代を超えたアーティスト同士の交流に触れることができたり、音楽を聴くだけでなく、見ることでいろいろな世界につながっていくのが面白いんです。

  
  • 清水亮一

    京都府京都市出身、2017年入社。
    趣味はレコード、陶磁器の収集、麻雀。また最近は学生時代振りに細々とギターを弾いている日々。
    もともとインドア派だったはずが、昨年同期のスタッフにキャンプに連れ出してもらいアウトドアの楽しみに目覚めつつある。