#MOBILE#VAN

ウラカタログ

山と街の間で。and wanderが開く新しいルート | 前編

VOLUME.7

普段目にすることのない側面にフォーカスして日々のなかで考えるきっかけを探していく「ウラカタログ」。
今回はand wanderによる移動式ショップ「and wander MOBILE VAN」誕生にまつわる話です。
この前編ではベースとなる1980年代製のVANが移動式ショップに改装される様子を取材しました。

Text & Photography by Soya Oikawa (ANGLOBAL)

and wander」が移動販売車を作るという。「and wander」とは2010年に池内啓太さんと森美穂子さんという2人のデザイナーが始めたアウトドアブランドで、大好きな山遊びのときにも街と同じようにファッションを楽しみたいという想いから、自然環境下での機能性はもちろん、感性を刺激してくれるような芸術性を追求した物作りが魅力だ。

 アウトドアブランドらしいといえばそうなのだが、彼らの活動にはいつだって“山の気配“がある。もっと大きく“自然の気配”と言ってもいいかもしれない。ハイキングはもちろん、カヤックやボルダリングなどさまざまなアクティビティを趣味とするスタッフのみんなが山の話をしだすともう止まらない()

また、シーズンごとのコレクション制作と並行して、ヨーロッパやアメリカを中心に年に何度も海外の展示会に出展する彼らだが、その合間を縫っては近年増えている国内でのアウトドアイベントへの参加も積極的だ。

その背景には「自分たちがつくったプロダクトを、実際にそれらが使用されるような自然の中で手に取ってもらいたい」という想いがあり、レンタカーに荷物を詰め込んで現地へ向かいブースづくりを繰り返してきた中で、ごく自然なかたちで「移動式ショップ」というアイデアが具体化していったのだという。

日本各地のトレイルヘッド(登山道の入り口)やキャンプ場など「思い立てばいつだって好きな場所でお店を開くことができる」というand wanderの長年の夢を叶えてくれる車とはいったいどんなものなのだろうか。

 先日、多摩川沿いのガレージでその車の改装の打ち合わせがあるというのでさっそく取材させてもらうことに。指定された住所を地図で確かめながら、穏やかな住宅街の路地をいくつか曲がると突然それは現れた。粗野なアルミボディの四角い塊に黒いゴムタイヤがついていて、周りを数人の人が囲んで何やら話し込んでいた。思ったよりずっと大きい。

ベースとなるのは1980年代製のシボレー社の「STEP-VAN」というシリーズ。アメリカでは主にパンやミルクなどの食料品や郵便物の配達、UPSFedExといったトランスポーター用の車両として、または移動式のアイスクリーム屋さんやホットドッグなどのアメリカンフードトラックとして広く用いられているシリーズだ。映画にもよく出てくる。

時代的なこともあるのかもしれないけれど、その特徴は何と言っても直線的でカクカクとした無骨なデザインで、工作用紙で簡単に再現できてしまえそうなボックス型が可愛らしい。実際に実用面も優れていて、ドライバーが車内で立ったまま動けるウォークスルー仕様となっていることで荷物の出し入れがスムーズにできるのだ。その荷台のおおきなスペースを利用して、先に挙げたようなさまざまな用途で利用されている。

ウェア類や雑貨などを陳列する荷台は想像以上に広い。車内の作業はまだ序盤ということもあって基礎的なもの以外何もなく、むき出しになったおよそ40年前の車は驚くほどシンプルだ。

イベント会場でショップとして使用される際はお客さんがその荷台に乗り込んで商品を見るスペースを優先するため、座席は左ハンドルの運転席の後ろにコンパクトな2シートという最低限に。このシートもお尻を持ち上げれば荷物を置く棚として使うことができる。完成後は3人体制で全国を回るのだという。どんなショップになるのか、そして行く先々でどんな出会いがあるのか、みんな想い想いに想像を膨らましているようだった。

次回Part.2では富士山のふもとでのプロモーション動画撮影の裏側をご紹介します。

こちらよりひと足先に完成版の動画をご覧いただけます。

  • and wander MOBILE VAN

    池内啓太さんと森美穂子さんによるアウトドアブランド「and wander」初の移動式ショップとして制作され、全国津々浦々への出店の機会を待っている。