季節を活けかえる楽しみ そこにお花があるだけで
#FLOWER#ROOM

そこにお花があるだけで

季節を活けかえる楽しみ

VOLUME.4

そこにお花があるだけで、
この言葉のさきに続く言葉を探してみる本連載では、
フローリストの言葉にはじまり、
アングローバルのスタッフが身近な空間にお花を置いてみて、
生きものである花との付き合いかたをさまざまに実践。
暮らしに寄り添って咲く花は、人や空間にどんな変化をもたらすのだろう?
さまざまな角度から「花と人の関係」にアプローチしていきます。

Edit by Yoshikatsu Yamato (kontakt)

花の手入れは、自分にとっても気持ちよく。確かに「適切な」方法はあるけれど、それに縛られるのではなく、自分のリフレッシュの機会にもしてみる。基本的なお手入れをレクチャーした前回に続いて、今回は、お手入れを進めながら変化していく花を、小さな花瓶やグラスに、一輪でシンプルに活ける提案です。

登場するお花は、東京・多摩川駅のほど近くにアトリエを構える「back to Nature」さんから届きました。MARGARET HOWELLSHOP &CAFE吉祥寺の店長、鈴木さんにご協力いただき、日々の生活のなかで楽しめる、花と器のスタイリングを実践していきます。

「散歩途中に積んだ草花をばさっとラフに」

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多摩川駅近くのアトリエで、オーダーメイドの花束や、店舗の生け込み、アレンジメントの教室などを幅広く行う「back to Nature」オーナー大川さんが届けてくださった花束に感じたのは、なんともいえない無造作な魅力だった。可憐な花。枝ものであるブルーベリー。風を感じる、スモークグラスやヨシ。

個性豊かな草花たちも、束ねてみると思いのほかまとまる。「庭や、散歩途中の道に咲く初夏の草花を積んで、肩肘張らずにばさっと飾るイメージです」。この組み合わせはアリなの? ナシなの? そうしたことはいったん置いておいて、自由に手にとったような大川さんの花束はいきいきとしていて、自然を前にして感じるような、作為のない伸びやかさがあった。

水中で茎をカットする「水切り」のひと手間

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ちょっと手間だけれど、余裕があればしておきたいことがある。「水切り」は、茎を水中でカットする作業だ。ボウルやバケツに水を張り、茎を水に浸けてスパッと切る。水中で切るのは、水を吸い上げる管に空気が入るのを防ぐためだ。管に気泡がつまれば、水の移動が止まってしまう。花を飾る前、この「水切り」をすると、花は見るからにいきいきとしてくる。家にやってきた花へのおもてなし。やっておきたい、プラスアルファのケアだ。

枝ものには縦に切れ込みを

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花束は、「花」だけで身を寄せ合っているのではない。通称「枝もの」といわれるような、木の枝を切ったものが仲間に入ることも多い。ナチュラルな雰囲気や、ワイルドな魅力をはなつ枝ものは、茎に十文字の切れ込みを入れておくのがベター。吸水を行う面積を増やしてあげることで、ぐんぐんと水を吸い上げていく。

水圧を利用した「深水」で花を元気に

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茎のカットが終わったら、深く水を張った花器に入れてしばらくステイ。「深水」は、多めの水で水圧を強め、花が水を吸い上げやすくする方法だ。移動時間で水が下がり、花の頭がぐったりとしたものでも、「水切り」と「深水」の応急処置をすれば、元気をとりもどすことがある。相当弱ってしまった花は、茎をまっすぐにした状態でクラフト紙や新聞紙を巻き、そのうえで深い水につけておくと、水はより上がりやすくなる。

さりげなく一輪で

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花を数本選んで、組み合わせる楽しさもあるけれど、一輪挿しでさりげなく飾るのもまたかわいい。一輪で飾ると、花のかたちや色がくっきりと見えてくる。この白い花は、まるで鯛を釣ったときのかたのような「タイツリソウ」というチャーミングな名前を持つ。

お花に水をしっかりと吸わせてあげたら、気になる花をピックアップし、小さな花瓶にすっと活けてみよう。玄関や洗面所、ダイニングテーブルやキッチン。花束から気になるお花をピックアップしたら、生活のなかでふと目に入るところに花を咲かせてみよう。

花の器は自由に選ぶ

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「花瓶」や「フラワーベース」として販売されているものに限らず、水を入れられる器なら、花を活けることができる。ジャムの瓶や、お気に入りのエチケットが貼られたワインの空瓶、コップやグラス。部屋にあるお気に入りの食器から自由に選び、花とのいいバランスを探してみる。一つの花を楽しむあいだ、器をなんどか変えてみるうちに、その花が見せてくれる表情も増えていくだろう。

直射日光と冷暖房の風は避けて

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置き場所を選ぶとき、気にしたいポイントは2つ。直射日光の当たる場所は避けること。冷暖房の風がダイレクトに吹き付けるところには置かないこと。多くの植物は光を好むが、花瓶の水温があがると花はのぼせてしまう。また、冷暖房の風で急速に乾燥が進むと、吸い上げる水分とのサイクルが崩れ、枯れやすくなってしまう。この二つの場所だけは避けて、花をレイアウトしよう。なんだか惹かれてしまうオブジェを添えれば、ちょっとシュールな世界観もまた愛らしい。

最後、花びらは浮かべて楽しむ

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花束をばさっと活ける。日々、水換えをし、茎の切り口を切ってリセットしていると、花は驚くほど長持ちする。茎がだんだんと短くなってきたら、小さな花瓶やグラスに活けかえる。そして最後には、茎の部分をすべて切り取って、平なお皿に浮かべてみる。日々のお手入れを続け、器をかえ、花との相性を楽しむスタイリング。部屋にいてくれるだけで空間にいろどりを与え、部屋で過ごす人に癒しをくれる花のいのちと輝きを、最後まで使い切るひと工夫だ。

続く連載では、ここまでの記事とはうってかわって「ドライフラワー」の魅力に注目。吊るして飾るタイプのスワッグと、輪っかの形が可愛らしいリースは、福岡は天神で、喫茶店とともにお花の販売をする「ホキ」さんから届きます。生花としての輝きを全うしたあとで、さらにそこから、花として人々との関係を結んできた「ドライフラワー」。それでは次回、お楽しみに。