ドライフラワーの風合いを味わう そこにお花があるだけで
#FLOWER#ROOM

そこにお花があるだけで

ドライフラワーの風合いを味わう

VOLUME.5

そこにお花があるだけで、
この言葉のさきに続く言葉を探してみる本連載では、
フローリストの言葉にはじまり、
アングローバルのスタッフが身近な空間にお花を置いてみて、
生きものである花との付き合いかたをさまざまに実践。
暮らしに寄り添って咲く花は、人や空間にどんな変化をもたらすのだろう?
さまざまな角度から「花と人の関係」にアプローチしていきます。

Edit by Yoshikatsu Yamato (kontakt)

二度目のいのち

花は枯れるから美しい。連載を通してこれまでにお花を注文した花屋さんは、口々にそう言った。こうした言葉には、すでにヒントが隠されていたのかもしれない。たしかに、「ドライフラワー」は、いわば「枯れた花」だ。しかしそれは、とても古くから装飾として使われ、人と関係を結んできた花の姿でもある。

今回、リースとスワッグを届けてくれたのは、福岡、那珂川市にある「花と珈琲 ホキ」。オーナーの濱さんは、ドライフラワーについて聞くと、こう答えてくれた。「花は枯れて終わりではないと思うんです。みずみずしい姿で人を癒し、役割をまっとうしたお花に、人の手を加えることで、もう一度息を吹き込むのがドライフラワーなのかもしれません。生花には生花の、ドライにはドライの魅力があると思います」。

箱入りスワッグと鳥の巣リース

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ドライの花はややデリケートだ。どうしても花びらが散りやすかったり、ぽきっと折れやすかったりする。グレーのボックスは、そんな繊細なドライフラワーを収納しておくにも、ギフトとして贈るパッケージとしてもちょうどいい。今回の記事では、「鳥の巣リース」と「箱入りスワッグ」を注文し、マーガレット・ハウエル吉祥寺東急店の八幡智美さんのご協力のもと、さまざまな飾り方にトライ。花器が必要ないからこそ、幅広い飾り方のできるドライフラワーの魅力を探っていこう。

デザインのインスピレーションは鳥の巣から

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「鳥の巣リース」は、ホキの濱さんが、鳥の巣をデザインのお手本にしたというリース。鳥の巣を写した写真集を愛読し、いつ見ても、その軽やかさと力強さに見惚れてしまうという濱さん。「鳥の種類や、鳥が過ごす環境によって、巣にも個性がうまれるんです。拾ったものを組み合わせて、卵を温め、子を守り、育てる巣。そんな鳥の巣には、もちろんかなわないけれど、私なりのリスペクトを込めてリースを作っています」。スワッグは、雑誌の長辺くらいの長さがあり、ほどよくスリムだ。「ボリュームのあるドライも素敵だけれど、このくらいの大きさと存在感が、部屋には馴染むのではないでしょうか」。

ボックスを額縁に見立てる

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まず、ボックスに入れたままで飾ってみる。グレーの箱は、まるでシンプルな額縁となって、リースやスワッグを引き立ててくれる。玄関先や、時計のそばに置いてみるのはどうだろう? 「ただいま」と「行ってきます」のとき、ちらりと目に入る。部屋で過ごしている日、ときおり目を向ける時計の近くは、ドライフラワーが優しげに生活に寄り添ってくれる、最適な置き場所だ。

定番の飾りつけ

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リースはドアに掛けるのが、ベーシックな飾りつけ方。「マグネットフック」や「フィルムフック」は、ドアや壁に跡を残すことなく、リースが引っ掛けられる便利グッズ。スワッグはラフに吊るしてみる。麻紐などをカーテンレールなどに結わえて吊るすのが、最初は手軽だろう。吊るして飾るスワッグは、場所を取らないのも魅力で、部屋の柱や、窓枠などの構造をうまく生かして、ここはどうかな? ここもいいのかな? と探してみるのが楽しい。

テーブルにさりげなく

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ドライフラワーにも、思いのほか香りはある。しかし、時間が経つとだんだんと抜けていく控えめな香りだから、食卓にも馴染むのが嬉しい。ずっと置いておかなくても、ゆったりとした休日の朝食の後の珈琲と一緒に。または、特別な日のデザートタイムに。リースの輪っかをうまくつかって、真ん中にキャンドルを置くのも、ホキの濱さんのおすすめとのこと。

ドライの利点を活かし、自分なりに飾る時期を決める

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保管できるのは、ドライフラワーならでは。定番のクリスマスのシーズンや、誕生日月など、自分なりに飾る時期を決めるのはどうだろう? 生花は、数週間の短いいのちだからこそ、その時々の気持ちにフィットして寄り添ってくれる。ドライフラワーは、それとは異なるスパンで、生活に寄り添ってくれる。お気に入りのリースやスワッグをしまったり、また取り出して飾るときに、今年もまたこの時期がきたなあ、と、より長く、ゆったりとした関係性を楽しむことができる。

花と珈琲のお店「ホキ」

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福岡にお店を構える「ホキ」は、一軒家のお店に、花と珈琲を同居させたスペースだ。お花はドライフラワーをメインとし、リースやスワッグのほか、繊細なワイヤーでドライのお花をつなげた「ひょろり」など、さまざまなかたちのドライフラワーを提案している。この頃は、一日花屋として、生花を多めに取り揃えるような試みや、ワークショップも予定している。

ドライフラワーから、自然のサイクルを感じとる

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リースについてお話を聞いているとき、濱さんが言っていた言葉が印象的だった。「鳥は、植物とすごく関係のある生き物です。鳥がついばんだ実が、ふんとなって落とされて遠い地で芽を出す。そうした、生き物と植物のサイクルにも興味があります。さまざまな生命に興味を持ち、原点ともいえるような鉱物にも、すごく魅かれるんです」。花や草は、季節ごとに咲いて、枯れる。その枯れた草花は、土の栄養になり、さまざまないのちにつながってもいく。そんな、いのちのリレーについて想像を膨らませてくれる「ホキ」の作品や、空間には、今日も、濱さんによる優しい珈琲の香りがただよっている。