こんなに素敵だったんだ、大濠公園。 より道のススメ|福岡編
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より道のススメ | 福岡編

こんなに素敵だったんだ、大濠公園。

VOLUME.4

世界中のさまざまなカルチャーが交わる福岡のセレクトショップDice&Diceで店長を務める藤雄紀さん。
このエリアを一緒に盛り上げていこうと、地域との繋がりを大切にしてきました。
個性的なキャラクターの先輩に教えてもらった穴場のお店から、初めて福岡を訪れる方にお勧めしたい名店まで、
藤さんが愛してやまないより道スポットを紹介していきます。

Text by Yuki To (ANGLOBAL)
Edit by Yoshikatsu Yamato(kontakt)

大濠公園は一年を通して、大小問わず様々なイベントを行っています。飲食系のイベントや、大規模な季節の風物詩的な催しまで幅広く、福岡に住んでいると、ちょこちょこ大濠公園には行くことになります。なので、福岡市民であればひとつやふたつ、大濠公園がらみの思い出を持っているはずです。それぐらい福岡市民にとってこの公園は生活に根付いた存在なのです。大濠公園は、福岡城の外堀を埋め立てて造園され、1929年に開園しました。隣にある舞鶴公園とともに、春には福岡一の桜の名所として、お花見客でとても賑わいます。

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また、夏の一大イベントは、なんといっても大濠花火大会です。都市部で開催される花火大会としては最大級らしく、福岡市内はもとより、近隣の県からも多くの方がいらっしゃいます。ぼくの働いているお店でも、大会当日は、ちらほら浴衣姿のお客さんがみえて、夕方頃にはお客さんが減り、開始時刻になると大濠公園から花火の音がしたものです。毎年、花火があがる音を聞いては、やっと夏本番、と実感します。機会があればぜひ、と言いたいところなのですが、70年近く続いていた大濠花火大会は、残念ながら2018年をもって終了してしまいました。福岡市民のほとんどが喪失感を感じつつ、「わたしたちにはまだ『山笠』と『博多どんたく』がある」と地元が誇る祭りを支えに悲しさをなんとか紛らわしている状況です。

ぼくが通っていたファッション系の専門学校は、大濠公園のすぐそばにあり、課題の発表の声出しだったり、学校でやるファッションショーのリハーサルだったりを池のほとりでやっていました。当時のぼくは、クラスメイトに言われるがまま、「よろしくお願いいたします」と池に向かって叫んでいました。そうして大声を出すことに意義は見出せませんでしたが、今思い返すと、もうちょっと素直に学生生活をエンジョイしても良かったんじゃないかと後悔しています。

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さて、大濠公園は、前回ご紹介した「福岡市美術館」に隣接しているので、美術館を楽しんだあと、公園で一息つくのは定番のコースです。池のほとりのベンチがぼくの定位置で、ベンチは池の縁すれすれに設置されているので、前を見ると視界から地面が消え、まるで池のなかに座っているような感じがします。脇に立つしだれ柳でベンチは日陰になり、風がよく通るので夏はとても涼しく、冬はとても寒いです。美術館を鑑賞した後、館内のカフェでコーヒーをテイクアウトしてベンチに座る。広い池を眺めながら、鑑賞の余韻に浸る。学生時代は、わけもわからず大声を張り上げていた大濠池ですが、今は、とても優雅に過ごしています。福岡に、これを上回る優雅な時間はないのではないかとさえ思えてくるぐらいです。

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撮影を行った日、ベンチで休憩していると、池の水面からカメが顔を出してくれました。街での生活ではなかなか出会えませんが、あらためて見るとかわいいものです。さらに、園内を歩いていると、子供の背丈ほどもある大きな鳥が、水を飲んでいるところに遭遇しました。急に目の前に現れるとめちゃくちゃびっくりするほどの大きさで、こんな驚きも、大きな池や森が広がる大濠公園ならではのことだと思います。

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今年は、福岡市民の心の支えでもある「博多祇園山笠」も「博多どんたく」も、コロナの影響で中止となってしまいました。ふたたび開催できるまでの時間、のんびりとした大濠公園の魅力をあらためて味わってみるのがいい気がしています。

  
  • 大濠公園

    福岡県福岡市中央区大濠公園1-2

  • 藤雄紀

    22歳でダイスアンドダイスに入社。個性的な先輩たちに揉まれて20代を過ごし、

    現在は頼れる店長としてスタッフから慕われる存在に。趣味はサーフィンと読書で、

    友人と文芸同人誌を自費出版し、福岡の文学系イベントで販売も行う。

    また最近キャンプを始め、多方面に手を伸ばしながら才能花開くフィールドを模索している。