#STORY#quitan

はじめまして、quitanです。

持続可能な支援につながるものづくりでありたい

VOLUME.4

この夏、アングローバルに誕生した新ブランド「quitan(キタン)」。
本連載ではそのデビューまでの道のりをお届けしています。
今回は【quitanを示す7つのルール】の中から「持続可能性」というテーマについてデザイナーの宮田紗枝さんにお話を伺いました。

Interview by Juli Yashima
Photography by Hiroyuki Matsubara

誰かのために作ること

前回は「quitan」のデビューコレクションについてお話を伺いました。今回は「quitan」の大切なテーマのひとつである「エコサイクル」や、「持続可能性」についてお話を聞かせてください。

宮田 「quitan」はゼロから作る新しいブランドです。これから衣服のブランドを始めるというときに、「持続可能」であることは欠くことのできない、当然のこととして考えていました。

本来であればモノを増やさないというのが今の時代の流れでもありますよね。そんな中で私たちは、暮らしの質が少しでも上がることを願って、新しいものを作っていきます。だからこそ、自然環境への意識に限らず、持続可能な活動であることは常に頭の中に入れておかないといけないと思っています。

ものづくりのベースとして大事にされているんですね。

宮田 はい。【quitanを示す7つのルール】のなかでも最後に入れているのですが、これはある意味では、自分への宣言でもあるんです。ただ自分を満たすためにものづくりをやっていきたいというよりは、小さくてもいいから、世界や地球に住むものたちに配慮しながらものづくりに取り組んでいるということを伝えたかった。最後に入れることで、皆さんの印象にも残るかなと。

エアバッグがエスパドリーユに

実際にはどのような取り組みをされているのでしょうか。

宮田 たとえば、今回のコレクションでは、車の廃材となるエアバッグを活用したり、エコテックス認証を得たデニムを使った商品を展開しています。

エアバッグ、ですか?

宮田 はい。車の廃材としてのエアバッグは、使われないまま捨てられる素材を少しでも減らそうという思いから活用したかったんです。生地は1つ1つが小さく、状態もさまざまなので靴などの小物に向いていると思い、エスパドリーユを作りました。

―そうだったのですね。

宮田 工場さんには、できるだけ無駄をおさえてたくさん作れるようにしたい、という思いだけを伝え、あとは作りやすいように、エアバッグのどの部分を使うのかも、すべてお任せました。

廃材となったエアバッグ (photography by ANGLOBAL)

フランスの工場で生まれ変わったエスパドリーユ

―一見、エアバッグには見えないほど、夏らしく涼やかな印象で、エスパドリーユにぴったりです。もうひとつは、エコテックス認証を得た生地を使ったアイテムですよね。

宮田 はい、デニムパンツ2型と半袖のシャツを作りました。エコテックス®とは、繊維製品に関する世界最高水準の安全性だけでなく、自然環境や製造工程に従事する人々にもしっかりと配慮した生産体制がなされているかをチェックする、人と地球環境に優しい繊維製品の証なんです。

なぜデニムだったのでしょうか。

宮田 環境や製造工程に関わる方々に配慮した取り組みは長く続けなければ意味がないと思います。そう考えたときに、商品としても「quitan」の定番になるようなスタンダードな素材を使いたかったんです。そこで、誰もが日常的に身に着けるもの、そしてスーツで働く人も週末には着てもらえるものとしてデニムパンツを選びました。エコテックス認証を取るためには、作る工場も限られます。こういった制約の中でモノを作るということも「作りすぎない」ということに対しての私なりの答えでした。

エコテックス認証を得ているデニム工場で、1940年代のアメリカ海軍のデニムの生地を再現 (photography by ANGLOBAL)

―洋服を通して、環境問題など今まで触れることのなかったことを知るきっかけにもつながると思います。

宮田 “この商品は環境に配慮しています”ということは、商品を見ただけではわからないかもしれません。ただ、「quitan」のなかでは目に見えるかどうかとは関係なくあって欲しいんです。

エコだから買う、買わないではなく、単純にモノとして好きだから買うという人がいてもいいですよね。もちろん私たちはその配慮を大切にものづくりをしていますが、お客様の選択肢としては、常に平等にあるといいなと思っています。

できることから少しずつ

―このようにモノの背景を知ると、より大切に使おうという気持ちが芽生える気がします。

宮田 環境への配慮は、ものづくりをしている以上向き合わないといけないことであり、常にそういう商品を作り続けたいと思っています。その上で、「quitan」というブランドはモノとして残るので、それが誰かの助けになったり、夢を叶えるキッカケに繋がる未来があったら嬉しいです。

「quitan」を買ってくださった方の手に服が届くことによって、結果的に地球の反対側の小さな子供の夢を応援できていた、というようなことになると素敵ですよね。

持続可能という取り組みをとても広く描いているんですね。

宮田 「quitan」は服のブランドですが、その先の支援としてさまざまな形があっていいと思っています。ただ、始めるからには続けられることを念頭に、できることから取り組むようにと思っています。持続可能な取り組みにはとてもたくさんの切り口がありますが、最初からあまり広げすぎずに、「quitan」では環境配慮という視点からにすぎません。

これからも、必要なときに必要なことをしていけるブランドでありたいと思っています。可能性はどこまでもありますよね。

【 quitanを示す7つのルール】

1. As universal as possible - 可能な限りユニバーサルであること

2. As ecological as possible - 可能な限り環境に、地球に、配慮されていること

3. There is always "something" inspired by tradition - 伝統から学ぶ「何か」があること

4. Well-placed production - 適材適所であること

5. Only the fabrics that I loved are chosen/woven - 私の愛した素材だけが使われている/作られていること

6. There is always "a color" for the season - 迎える季節には、いつも大切にしている一つの「色」がある

7. Supporting developments sustainably - 持続可能な支援を

次回は、「quitan」の服がつくられる工場や、大切にしている「適材適所のものづくり」についてご紹介します。

  • 宮田・ヴィクトリア・紗枝

    アメリカ・シアトル生まれ。quitanデザイナー。幼少の頃より多国籍な環境で遊牧民のように転々と暮らしの場を変えつつのびのびと育つ。大学を卒業後はファッションの現場でものづくりの経験を積み、2020年にアングローバル入社。2021年春夏よりユニセックスブランド「quitan」を展開する。